電子顕微鏡

電子顕微鏡は電子線を用いて測定対象物の拡大像を得るものです。従来の光学顕微鏡などよりはるかに高い倍率での形態観察が可能です。光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いは観察する試料に当てるプローブです。電子線は波として見た場合、非常に波長の短い波なので、より小さな対象物を分離して見ることができます。 

 測定対象物の観測手段は主に3つあり、「肉眼」・「光学顕微鏡」・「電子顕微鏡」です。これら3つは観察できる最短の距離である分解能が異なります。人の目の分解能はおよそ0.1mmであり、これ以上小さいものの観察には「光学顕微鏡」や「電子顕微鏡」が使用されます。 

 電子顕微鏡の中でも透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)の2種類に分けられます。走査型電子顕微鏡は立体的に、透過型電子顕微鏡は平面的に観察することができます。走査型電子顕微鏡は照射した電子線から反射してくる電子により試料の表面の凹凸を観察し、透過型電子顕微鏡は電子線を透過させ、電磁石のレンズで拡大します。透過型電子顕微鏡では試料を切片にした場合、試料の内部の様子を観察することができるという利点があります。ナノマテリアルやタンパク質はそのまま観察し、全体像を得ます。

顕微鏡の違い 

 光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いは観察する試料に当てるプローブです。光学顕微鏡は光を当てて像を拡大し観察するのに対して、電子顕微鏡は光の代わりに電子線を試料に当てます。 

光学顕微鏡では光(可視光線)の波長以下の対象物は見ることができませんが、電子顕微鏡に用いる電子線の波長は光よりはるかに短いので、より小さな対象物を分離してみることができます。よって電子顕微鏡は光学顕微鏡と比較してはるかに高い分解能が得られます。  

電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡)の測定 

 試料に電子線を照射した際、表面原子の価電子が放出されるものを二次電子と言い、これが試料の角度によって発生量が異なることを利用して試料の凹凸を図ります。

電子顕微鏡の用途 

 電子顕微鏡は原子および分子レベルで材料の構造と特性を研究するために不可欠であり、例えば、デバイスの断面を測定することでデバイス不良の原因推定、電子製品に搭載されている半導体の製造に欠かせない材料であるシリコンウェーハ上の有機不純物汚染の特定など、材料科学、生物学、ナノテクノロジーに欠かせないものとなっています。 

参考文献 

一般社団法人 日本分析機器工業会 電子顕微鏡の原理 

https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/em/principle/ 

【2024年】走査型電子顕微鏡 メーカー13社一覧・製品価格 | Metoree 

https://metoree.com/categories/5613/ 

Activewave 電子顕微鏡とは?種類や用途について解説 

https://www.activewave.co.jp/column/digital-microscope/electronic-microscope 

株式会社 東海電子顕微鏡解析 特集ページ 

https://www.tokai-ema.com/semtem.html 

室蘭工業大学 水素機能材料学研究室 SEM入門 

https://u.muroran-it.ac.jp/hydrogen/labsem_guide.html