こうなると一般化して、n の全ての値に対して位数 n の有限射影平面は存在するのか確かめたくなります。残念ながら全ての n に対して有限射影平面が存在しないことがわかっていますが、どの位数 n に対して有限射影平面が存在するかは今も未解決問題として研究対象となっています。
展示で紹介しているシフト表や石の置き方というような、実験などにおいてミスを減らし、正確に実験を行うための実験計画(design of experiments)の方法に由来する数学を「デザイン」といいます。数学的に言えば有限集合Vにおいて、ある規則を満たす部分集合の族B(ブロック)が指定されたもののことを言い、現在では組合せ数学の一分野をなす理論となっています。この下で、v 品種からなる集合を b 個のブロックに振り分けることを考え、それぞれのブロックは全て同数(k 種類)の要素をもち、それぞれの品種は全てが同数(r 個)のブロックに現れるという条件を満たすデザインをブロックデザインと言います。ただし、各ブロックは全ての品種は含まない(不完備)とします。
これを平面図形に対応させると、点が有限集合Vの要素、直線がブロックと考えることができます。つまり、点の個数が v 個、直線の本数が b 本あり、それぞれの直線上には k 個の点があり、n 点を同時に通る直線がちょうど r 本あるという条件を満たす平面ということになります。このような組み合わせ構造を n-(v,k,r)デザインといい、ファノ平面は 2-(7,3,1)デザインを表していると言えます。