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千葉大学サイエンスプロムナード
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千葉大学サイエンスプロムナード
霧箱
霧箱は、科学実験や物理学の教育に使用される装置で、微小な粒子や荷電粒子の挙動を可視化するために設計されています。通常、霧箱内には液体(アルコール)が封入され、この液体を急冷することで、過飽和状態を作ります。霧箱内部に観察窓があり、霧箱の中で起こる現象を直接観察できます。
主な用途は、荷電粒子の挙動の研究です。荷電粒子が霧箱内に入ると、気体の分子をイオン化し、その軌跡を観察できます。これにより、荷電粒子の電荷や質量などの性質を推定することができます。また、最前線の宇宙線の研究での使用はかなり限定的ですが、高エネルギーの宇宙線粒子の挙動を追跡し、宇宙線の性質の解明に貢献します。
また、霧箱は教育にも役立ち、学生が物理学の基本原理や粒子物理学を視覚的に理解するのに貢献します。本校でも拡散型霧箱を用いて、学生が粒子、宇宙線等の観測実験を行います。霧箱は、簡単な構造でありながら、微粒子の挙動を観察できるため、科学教育において重要なツールとなっています。
霧箱は、蒸気の凝結作用を用いて荷電粒子の飛跡を検出するための装置であり、1897年にチャールズ・ウィルソンが発明しました。1927年、彼の「霧箱によって荷電粒子の飛跡を見る方法の研究」に対してノーベル物理学賞が授与されました。
ウィルソンが発明した霧箱は断熱膨張型とよばれるものであり、観察装置の底が急に下降することによる断熱膨張を利用して観察容器内を冷却するため、放射線の飛跡は一瞬しか観察できませんでした。しかし1939年、アメリカ・カリフォルニア大学のラングスドルフにより、現在の拡散型霧箱が作られ、容器の底部を冷却機やドライアイスで冷却することにより、「飛跡の連続観察」が可能になりました。
本施設、本校の物理学科二年次の実験では、改良された千葉大学オリジナルの拡散型霧箱が採用されております。感度層が厚く三次元的に観測できるのが特徴です。
[写真] サイエンスプロムナード内の拡散型霧箱
[写真] 素粒子基礎実験において自作した、拡散霧箱による観察画
1. 原理と動作メカニズム
霧箱は一般的に密封された箱状の容器で、その内部には特定の液体(通常は飽和蒸気を含むアルコール)が充填されます。深さ10cm前後の容器内でアルコールを蒸発させ、容器の下部(底部)は冷却し、上部は暖めます。これにより容器内部で上下の温度差が数十℃程度の急激な温度勾配を作ると、容器の上方はアルコール気体の飽和状態、下方には過飽和状態ができます。
アルコール気体の過飽和状態の中を電荷を持った高速の放射線が走ると、その道筋にある窒素や酸素の気体分子の電子が跳ね飛ばされ、イオンができます。このイオンが核となって飽和状態のアルコール分子が集まり、アルコールの液滴となって雲ができます。この白い飛行機雲のように見えるアルコールの雲に光を当て、放射線の通った跡(「放射線の飛跡」という)を観察します。
2
. 原理と動作メカニズム
霧箱の主な用途の一つは、荷電粒子(電子、陽子、
α(アルファ)
粒子など)の挙動を観察することです。荷電粒子は電場によって影響を受け、霧箱内でその軌跡を観察することができます。荷電粒子が霧箱内に入ると、容器内の気体をイオン化し、それにより軌跡が残ります。この軌跡は曲線やらせん状に見え、粒子の電荷や質量、エネルギーに関する情報を提供します。ここで霧箱の観測にて実際に見える代表的な飛跡を紹介しましょう。
(1)α線
太く、直線的で、長さが数cmの白い線がα線の飛跡です。
α線は主に空気中のラドン222という気体から飛び出します。普通は1本の直線的な飛跡ですが、たまにV字型など2本に枝分かれした飛跡を見ることがあります。これは同じラドンの仲間(「同位体」という)であるラドン220という気体から出たものと考えられます。
(2)β(
ベータ
)線
糸くずのように見える細い線は、β線や電子線の飛跡です。
β線は、霧箱内の空気(窒素や酸素)の分子やアルコール分子などに比べて質量が非常に小さいので、これらにぶつかるたびに進路を曲げながら進みます。そのため、ジグザグな飛跡となります。
また、エネルギーの強いγ線は、光電効果やコンプトン散乱と呼ばれる現象によって、その通り道にある原子から電子を叩き出すことがあります。この叩き出された電子も、β線と同様のジグザグな飛跡をつくります。叩き出された電子の束を電子線といいます。
(3)宇宙線
太くて長い、真っすぐな線は宇宙線の飛跡です。
宇宙線とは宇宙から降りそそぐ原子核や素粒子(物質を作っている基本的な粒子)です。このうち霧箱ではミューオン(電子のおよそ200倍の質量を持ち、プラスまたはマイナスの電気を持つ粒子)などの飛跡を観察することができます。
3
. 宇宙線の研究
霧箱は宇宙線の研究にも利用されます。宇宙線は宇宙空間から地球に降り注ぐ高エネルギーの粒子であり、これらの粒子の性質や起源を解明するために霧箱が使用されます。宇宙線粒子が霧箱内に入ると、その軌跡が観察され、宇宙線の種類やエネルギーに関する情報が収集されます。
4
. 教育と
科学普及
霧箱は教育機関や科学博物館で広く使用され、学生や一般の人々に物理学の基本原理を視覚的に理解させるために活用されています。霧箱を通じて、荷電粒子の軌跡や宇宙線の観察などが行われ、物理学に対する興味を喚起し、学習を促進します。
5
. 進化とデジタル化
近年、霧箱のデジタルバージョンが開発され、コンピュータービジョン技術を活用して粒子の軌跡を自動的に検出し、データを記録することが可能になりました。これにより、粒子物理学の実験がより効率的に行えるようになりました。
霧箱は、微小な粒子や荷電粒子の挙動を研究し、物理学の基本原理を理解するための貴重なツールであり、粒子物理学の発展に大きく寄与しています。また、教育分野でも広く利用され、科学の普及と理解を促進しています。今後も技術の進歩により、霧箱の実験がさらに精密化され、新たな発見が期待されています。
参考文献
https://kiribako-rado.co.jp/what/
https://www.radi-edu.jp/kids/experiment/expe-type-radi
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